自分が生まれた国のすぐお隣だというのに、韓国のことは、わたしはほとんど何も知らない。ゆっくり観光に行ったこともないし、かろうじて仕事でソウルを訪れたことがあるだけ、という程度。
その韓国の南端の海域、九州からかなり近い場所に、チェジュ島(済州島-地図のA地点)、別名「韓国のハワイ」、「平和の島(Island of Peace)」と呼ばれる美しい島がある、とずいぶん以前に知り合いから聞いたことがあります。ユネスコの世界遺産にも指定されたエリアだと聞いて、いつか自分も行ってみたいと思っていた。
そのチェジュ島の名前を、昨日、思いがけないところで見かけた。アルジャジーラのドキュメンタリー。
その島の一角の人口2000人の小さな村に、韓国の国家プロジェクトとして、2007年から巨大な海軍基地の建設が始まり、以来4年間、その小さな村では休むことなく激しい反対運動が繰り広げられ、警察とのぶつかり合いで大揺れ、という話を25分間のドキュメンタリーで見たのです。
A Call Against Arms (Aljazeera, 11/9/2011)(ナレーション・字幕ともに英語。見応えあります。)
恥ずかしながら、このドキュメンタリーを見るまで、自分はこの件について、何も知りませんでした。日本語記事をちょっとググってみると、2ヶ月ほど前の産経ニュースに、反対激化の様子を伝える記事があったけど、日本でも、そんなに報道されていない感じ。
対中国警戒の要 済州島海軍基地計画 反対激化で政治問題化 (産経ニュース、9/1/2011)以下、記事から引用。
韓国にとって済州島に海軍基地を持つことの戦略的意味は大きい。南方約150キロの洋上には自国領を主張する「離於(イオ)島」がある。中国はこれを「蘇岩礁」と呼び「島ではなく、自国領海内の岩礁」と主張。韓国が03年に付近に海洋基地を建設して以来、中国側が船舶を派遣するなど両国のつばぜり合いが続いている。
また、この海域は日本海沿岸と黄海沿岸を行き来する北朝鮮海軍の作戦航路にも当たっており、北の軍事行動を監視する重要地点でもある。
済州島が候補地となった背景にはこうした戦略上の理由があるが、今年になって本土のソウルなどから左派系市民団体や環境保護団体が次々に現地入り。反対派住民と連携し始めた。
この話について何か意見を述べられるほど知識がない自分ですが、日本海の、九州のすぐ目と鼻の先にある場所で、こういう動きが着々と進んでいるのだということを(いまさら)知って、改めて自分の無知さを感じました。
ロシア・トゥデイ(RT)もこのニュースを最近取り上げていて、この島で反対運動に関わるアメリカ人活動家のインタビュー動画を掲載している。
US to use S. Korean base to project power against China? (RT News, 11/8/2011)
この基地は韓国政府の国家的プロジェクトとはいえ、海軍基地としての規模は世界有数、中国からわずか300マイル、韓国軍のみならず米軍も、この基地を「HOME(自宅)」と呼ぶつもりなのは明らかで、ここで米国海軍が軍備を施すようになると、中国と米国の緊張が高まった際にこの島がミサイル攻撃のターゲットになる、というのが、ここでインタビューされてる活動家の論旨。
日本も、普天間基地移転の件で揺れてましたが、上のアルジャジーラのフィルムといい、RTのニュースといい、わたしの目には、チェジュと沖縄と、多くのことがダブって見えました。
ただし、チェジュ島の話は、ここに米軍基地を置くという話ではなくて、韓国政府が自国軍施設として進めている話。でも米軍の影はつきまとう。日本だって、沖縄から基地を追い出せばそれでお仕舞いになる話ではないのですよね。日本自衛隊が自衛目的で同様の基地を作ろうとすれば、相手が米軍ではなくなるというだけで、同じ問題は続くのだという事実を、具体的に見せてもらった気がしました。
わたしは個人的には、日本が自衛するためには自衛隊だけでは困難で、米軍の力を借りなければならないと考えていますが、実際にその基地建設がたとえば自分の住む町だったら・・・と考えると、非常に複雑な気持ちになることも確かです。
問題の基地建設地の村長さんが反対を訴えている動画があった。
そして、最後に、この村の海・・・。泣きたくなるほど美しい。
拝読。うーむ。反対派は米中熱戦に巻き込まれることを懸念しているんですね。私は日本との竹島紛争における韓国民の対応との対照的な差を感じました。日韓の摩擦って、しょせん平和的、っつうことだろうか…
Posted by: Tsugamit | 11/10/2011 at 12:01 PM