数年前テレビで紹介されて話題になった、一風変わったカップルがいます。
動物園やサーカスを引退した象を引き取り余生を過ごさせてあげる「象のサンクチュアリ」(米国テネシー州)で暮らす、わんこのBella と、象のTarra。
この象のサンクチュアリにやってきた象は、必ず象同士『仲良し』の相手を園内でみつけ、いつも一緒に過ごす習性があるんだそうです。でもタラは、どういうわけか、わんこのベラとパートナーになり、食べるときも寝るときも遊ぶときもいつも一緒の仲良しさん。
サンクチュアリには、飼い主に捨てられて道をうろついていた野良犬が十数頭引き取られていて、広大な園内を象と一緒に走り回ってるそうなのだけど、ベラもそのうちの一頭で2004年からここで暮らしていた。
CBSで紹介されたベラとタラ(↓)
上のニュース・クリップによると、犬のベラが背中の神経を痛めて3週間動けなくなってしまったとき、象のタラはベラの病棟(?)の傍まで毎日お見舞いに来て、タラのことを心配して、そこに張り付いていた。サンクチュアリ職員が動けないベラをタラの近くまで運んであげて、毎日対面していたそう。タラとベラの絆はますます深まり、タラのその巨大な足でおなかをナデナデさせちゃうぐらい、お互いを信頼しきっていたという。
数面前のTVニュースの最後は、こう締めくくられています。
They harbor no fears, no secrets, no prejudices. Just two living creatures who somehow managed to look past their immense differences. Take a good look, America. Take a good look, World. If they can do it, what's our excuse?
相手を恐れることなく、隠し事もせず、偏見ももたない。お互いの違いを超えたところで強く結ばれた2頭の動物たち。アメリカよ、よくごらん。世界よ、よくごらん。彼らにできることが、私たちにできない理由などあるだろうか?
本当にそのとおりだわ・・・と思って感動していたのですが、昨日、突然、ベラの訃報を目にしました。
Bella, Best Friend to an Elephant, Dies (TheBark.com, 10/31/2011)
先週の火曜日からベラが行方不明になり、水曜日に園内を探したところ、タラや他の象たちが休む小屋の横でベラが死んでいるのが発見された。ベラは体に深い傷を負っていて、おそらくコヨーテのような動物に襲われたらしい、と同園の獣医さん。
象は仲間が死ぬと深い哀しみの気持ちを表現して注意を払うそうで、職員たちは、タラにベラの死を教えてあげようとベラの亡骸のところに連れていこうとしたが、タラは近づこうとしなかった。
(記事から引用)
With more evidence, the staff has come to believe that Tarra was aware of Bella’s death many hours before her body was discovered and dealt with it in her own way. In fact, they believe Tarra found Bella during or after the attack and carried her body back to the barn. There was no indication of a struggle anywhere near where Bella was found, and based on the extent of her injuries, it was clear Bella could not have reached the spot herself. Furthermore, examination of the underside of Tarra’s trunk revealed blood.
“I am convinced Tarra experienced the death of her friend that fateful night, brought her home and said her goodbyes,” sanctuary CEO Rob Atkinson said. “Tarra was a true friend to the end, and Tarra’s sisters and caregivers will continue to take care of her, as she and Bella did each other.”
いろいろわかってくるにつれ、職員たちは、タラはベラの死体が発見される何時間も前からベラの死を知っていて、その哀しみを自分なりに処理したのではないか、と信じるようになった。襲われている最中か、もしくはその直後にベラを見つけたのは実はタラで、ベラの体を抱えて小屋のそばまで運んできたのもタラだったのではないかと彼らは考えている。ベラの亡骸が発見された付近には、争ったような形跡がどこにもなく、傷の深さから判断してベラが自分でその位置まで動けたとは考えられない、という。さらに、ベラの鼻の下のほうに、血が付着していることがわかった。
同サンクチュアリのCEOロブ・アトキンソンさんはこう語った。「タラはベラが襲われた晩にベラの死を体験し、家まで運んできて、ベラにさようならを言ったのだと私は確信するに至りました。タラは最後までベラの真の友達だった。ベラがずっとタラの面倒をみていたように、タラのことは、これからは象仲間と私らで世話をします。」
ベラ、安らかに・・・Rest In Peace。
サンクチュアリのホームページは、ベラのための追悼ページを設けました。
アメリカ人の中にはこういう事実から素直にユートピアを連想できる人がまだ少なからずいて、ほっとします。
日本では(特に関西に住んでいると)まとまるためには共通の外敵をつくらねばならないという基本姿勢がまだロコツにあって…ミックス家族には生きづらいこともしばしば感じます。
Posted by: Big_sis_rie | 11/01/2011 at 07:32 AM
ユートピアを実現するのは難しいだろうけれど、それに少しでも近づくために、この仲良しさんたちのことを忘れずにいたいです。
Posted by: TrinityNYC (とりんち) | 11/04/2011 at 10:40 AM